ホルモン王に、オレはなってやるべ!|にじいろファミリークリニック|東村山市久米川町の内科・循環器内科・泌尿器科

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ホルモン王に、オレはなってやるべ!

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2026年8月25日

ホルモン王に、オレはなってやるべ!

こんにちは。にじいろファミリークリニック、安田です。

2026年8月は本日25日が最後の火曜です。まだまだ夏の気候ですが、あと1週すると9月なんだなと思うと、1年の短さが何とも言えない感情とともに押し寄せてきます。夏の疲れが抜けきれない方も少なくないとおもいます。こんな夏の疲れとよばれるものの一つに「男性更年期」の症状が混ざっています。

「え、男なのに更年期?」って思う方もおおいかもしれません。確かに、「更年期」ってほとんどの場合「女性更年期」を指す言葉ですし、イメージはありますよね。しかし、厳密にはこの言葉は「性ホルモンの急激な減少で心身的不調が現れる状態」を意味するものであって、性差のあるものではないのです。

じゃあ女性は婦人科にいくかもしれませんが、男性は”何科”にいくのでしょうか?

泌尿器科です。

人間の体っていうのは季節性にホルモン分泌量が変化するんですが、男性ホルモンである「テストステロン」は夏にめっちゃ減ります。というのも、動物の繁殖期は秋から冬におおく、人間もこの時期にホルモンのピークがくるようになってるので夏は準備期間として低下するんですね。まあ、夏は自律神経がバランス崩したり、暑くて寝不足になったり、ビールが美味しいせいでアルコールの影響が出たりもするので、余計にホルモンが低下します。

こうやってホルモンが低下すると、気力が低下したりイライラしたり、疲れやすかったりと色々症状がでるようになり、この状態を男性更年期障害と言いまして、我々はコレをかっこつけて「LOH症候群(Late-Onset Hypogonadism/加齢男性性腺機能低下症候群)」と言っているんです。読み方は「ローショウコウグン」です。

LOH症候群の歴史は、元気を取り戻したい世の男たちによる執念の飽くなきアンチエイジングの歴史です。

近代の男性ホルモン研究の幕を開けたのは、モーリシャス出身の非常に高名な生理学者であるシャルル=エドゥアール・ブラウン・セカール先生です。ブラウン・セカール症候群という脊髄の病気を発見した超有名人です。ブラウン・セカール先生は1889年当時に72歳でしたが、衰えゆく自分の体力と気力にすごく悩んでました。

ブラウン・セカール先生はその頃「甲状腺」とかの研究もしていて、「内臓って、血液の中に特別な物質(現在でいう”ホルモン”)を分泌してて、それで全身をコントロールしてるんじゃないかな~」という画期的な仮説も立てていました。これは現在の「内分泌」の概念です。こんな天才だからこそ、やっちゃう時にはやっちゃうものでして、彼は自分の体力的な衰えを改善させるために、犬とかモルモットの精巣をすり潰して抽出した液体を自分に何回も注射したんです。もう完全にやっちゃってますね。

そして、パリの生物学会で「腕力が戻り、頭脳が明晰になり、排便の勢いも若い頃に戻った!」って真顔で発表したりしたんです。この結果っていうのはほとんどプラセボ効果(思い込み効果)だったんですが、この発表は「男性更年期はホルモンで治せるかも?」っていう科学研究の強力な推進力になりました。どっかの元海賊王みたいです。

ただ、黎明期っていうのはどんなものでも“まゆつば的”、あるいは”オカルト的”なものが混ざりこむものでして、1920年代にはサルの精巣を人間に移植する手術なんかも存在しました。もうね、「エキスがだめならモノごと移植じゃーい!」って感じの異次元のひらめきを感じる手術ですが、意外にも当時大流行した手術でした。ちなみにこれもプラセボ効果です。

こんな中で、日本の「あすか製薬」が勢い勝ちする事になります。

創業者である山口八十八氏が始めた会社は「帝国社食品工場」といって、マーガリンとかつくってる会社でした。昔のマーガリンって大部分が動物性の油でつくってたんですが、油をとった後に残る肉はハムとかソーセージになるんですが、精巣を含んだ一部の臓器はどういても廃棄せざるを得なかったわけです。

これを見てて、「なんか有効な使い道ないかな~」って考えていた山口氏だったんですが、彼もホルモン界の海賊王ことブラウン・セカール先生の言葉に感化された一人だったので、「よし、これでいじやけるほど凄ぇエキス作んべ!」的な考えに至る事は非常に容易でした。ちなみに山口氏は栃木出身ですが、どれくらい訛ってるかは私の勝手な妄想になります。

ココから試行錯誤が始まり、徐々に科学技術が進歩した事で抽出技術も向上して、1934年にいよいよ国産初の本格的な男性ホルモン製剤「エナルモン」が発売されました。名前の由来は、エネルギーの「エナ(Ena)」とホルモンの「ルモン(lmon)」を合体させたもので、これをさらに長時間効果が持続するように改良したものが現在の「エナルモンデポー」です。

ただし、この時のスタンスって「成分の正体はよく分かんないんだけど、とにかく動物のタマをすり潰したら、男がめちゃくちゃ元気になったから売るぞ!」的な感じだったわけで、主要成分の正体が「テストステロン」である事を科学的に分析・特定したのはオランダの製薬会社であるオルガノン社で、この発表は1935年の事だったんです。

テストステロンの特定はエナルモンデポーが有効である事実にトドメを刺し、誕生から70年以上経った現代でも泌尿器科におけるLOH症候群のファーストチョイスであり続けているんです。山口氏の事を、勢いが当たっただけのラッキーおじさんに見えるかもしれませんが、「もったいないと思う心」や「医療のトレンドを見極める高い先見性」、「開発を支えた当時の科学者達の高い技術力」の集大成がこの薬であるわけですので、”匠のジャパン・クオリティ“って事でご理解お願いします。

最近疲れが残るな~って悩みをかかえている男性は、泌尿器科へご相談ください。

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