エボラ出血熱へ関わる方々への祈念|にじいろファミリークリニック|東村山市久米川町の内科・循環器内科・泌尿器科

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エボラ出血熱へ関わる方々への祈念

エボラ出血熱へ関わる方々への祈念|にじいろファミリークリニック|東村山市久米川町の内科・循環器内科・泌尿器科

2026年5月26日

エボラ出血熱へ関わる方々への祈念

こんにちは。にじいろファミリークリニック、安田です。

2026年5月中旬から、コンゴ民主共和国では「エボラ出血熱」の新たな集団感染(アウトブレイク)が発生しており、日々ニュースで報道されております。これに関して世界保健機関(WHO)は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言する深刻な事態となっており、ニュースの見出しを目にするだけで胸がギュッとつかまれるような気持ちになります。

昨年2025年後半にカサイ州(コンゴ共和国)で見られたエボラウイルス感染症の流行はいったん終息したんですが、今回流行している「ブンディブギョ株」は既存のワクチンも効果が低く、特効薬がないので対症療法が主体です。つまりは公衆衛生的介入がさらに重要視されるのですが、流行地域のコンゴ共和国北東部は紛争地域である事から医療チームがなかなか安全に活動できず、 金鉱山への労働者の人口移動が激しくて接触者調査(誰が誰と接触したかの追跡)が難しくなっています。

コンゴ共和国は総人口の約46%が15歳未満の子供(18歳未満で見ると約54%)で、平均年齢は世界で最高水準の若さです。今回のアウトブレイクにおける死者の約31%が10歳未満です。エボラ出血熱は、子供(特に5歳未満)での死亡率が非常に高い疾患で知られていますので、今後も子供の死者は増えていくかもしれません。自分の力が及ぶ所ではないと知りつつも、どうにかなってほしい気持ちが胸中をぐるぐると渦巻き、ため息が出てしまいます。

エボラ出血熱はエボラウイルスというウイルスによって発症しる病気で、2~21日(ふつうは1週~10日くらい)程度の潜伏期間を経てから突然インフルエンザのような発熱や筋肉痛・喉の痛み等の症状で発症します。ここから症状が数日で悪化すると腹痛や嘔吐・下痢といった胃腸の症状が出てきて、重症化した場合は吐血や下痢、皮膚や粘膜からの出血といった症状がみられます。なんとか生還しても視力障害や聴力障害などの後遺症が残ったりします。

ウイルスというのはエボラウイルスに限らず、「遺伝子を次世代に残し、増殖する事」を目的に活動している微小粒子の事を言います。彼らは自分ではこの目的を達成できない寄生者なので、他の生物へ入り込んで自分のコピーを作ります。このように入り込まれる生物は「宿主」と呼ばれますが、エボラウイルスの宿主はコウモリです。

宿主は「自然宿主」と「偶発宿主」に分けられるんですが、「自然宿主」っていうのはウイルスがその生物を常に住処にしている宿主の事で、当然そのウイルスに感染しても、病気になったり死んだりはしません。ですが、「偶発宿主」は本来の住処ではない生物ウイルスが「間違えて」感染したような宿主ですので、だいたいの場合に免疫が暴走し、激しい症状が出ます。例えばハンタウイルスではネズミが自然宿主ですし、A型インフルエンザの自然宿主はカモです(コレ以外に知らない人多いです)。ですので、コウモリはエボラウイルスの自然宿主である、という事です。つまり、コウモリの食べ残し(果物)やその死骸(ブッシュミート)を食べたりすれば、人間やサル等が偶発宿主として感染する、という事です。

今から50年前となる1976年に、コンゴ共和国(当時のザイール)のヤンブクという村で一人の男性が原因不明の発熱に見舞われました。これがエボラウイルスでは生活で初めてのアウトブレイクとなるのですが、後に発見された病原体は特定の地域や村がスディグマに脅かされる事を防ぐために、近くを流れる「エボラ川」の名前をとって「エボラウイルス」と名付けられる事となります。

当時発症した男性が村の教会病院に駆け込んだ時には既に発熱・頭痛以外に全身の穴という穴から血を流す症状がみられており、数日で亡くなってしまいました。しかし悪夢の始まりはここからで、彼を看病した家族や病院の看護師が次々と同じ症状で亡くなっていきました。当時のエボラ出血熱の致死率は90%と高く打つ手もありませんでしたので、ヤンブクの村は一瞬で恐怖に突き落とされたのです。

この事態を重く見たのが現地人医師であるジャン=ジャック・ムイェンベ先生でした。ムイェンベ先生は命がけで患者の血液を採取し、これをベルギーの熱帯医学研究所へと送り、ピーター・ピオット先生はこれを受け取りました。この時、送られた血液サンプルのうち1つの瓶は割れていたそうですが、本当に一歩間違えればヨーロッパ全土にバイオハザードが広がっていたはずですので、想像すると肝が冷えます。

そんなピオット先生は満足に防護服すらない時代、サンプル血液を顕微鏡で観察して細長いヒモのようなウイルスを発見する事で原因を突き止め、すぐにヤンブクへと向かって感染が広がった理由を探しに行きました。そこで驚くべき事実が判明したのですが、教会病院では、1日に数百人の患者へビタミン剤を注射していたのですが、注射器はたったの5本しかなかったのです。この“完全に消毒されないまま使い回された注射器”が悪魔のウイルスを村中に媒介していた事がわかり、村の隔離と注射器の使用中止をする事で流行をくい止める事が出来たという事です。

エボラウイルスは空気感染しません。このウイルスは、患者の血液や汗、涙に直接触れる事で感染します。つまり、苦しむ家族を看病する人や、亡くなった遺体を涙を流して抱きしめる家族など、「人を想う優しい人」から順番に感染していきます。

過酷な現場に立ち続ける現地の医師、看護師、国際支援チームへ心より深く敬意を表し、一日も早く安心して暮らす事の出来る日が来ることを願っております。

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