幸せの禁煙|にじいろファミリークリニック|東村山市久米川町の内科・循環器内科・泌尿器科

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幸せの禁煙

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2026年1月13日

幸せの禁煙

こんにちは。にじいろファミリークリニック、安田です。

2026年1月現在では、まだまだ風邪が流行っています。また、風邪っぽいけど風邪じゃない、アレルギーのような咳も多々見られます。例年、冬から春にかけてはPM2.5の影響も少なからずありますので、こういったものの影響も考えなくてはいけません。

最近では第4次排ガス規制もあり、エンジンに関する規制も厳しくなりました。世はまさに、「大・大気汚染注意時代」なのかもしれません。ですので、今回はタバコの煙の話をします。

心臓病と喫煙の関係性には深いものがあります。これはすでに一般常識となってきているので、喫煙されない人も増えています。ホテルでも「禁煙ルーム」、施設でも「館内禁煙」というのはかなり一般的になっていると思います。

タバコがどのように心臓に悪いのか。これはもう、一言では言い切れません。今回は、一部紹介してみようと思いますが、やはり“メガネをスチャっと”掛け直しながら説明した方がしっくりくるくらい、お堅い内容の話です。

タバコの悪いところは、ズバリ「煙」です。タバコの煙には、ニコチンや活性酸素、一酸化炭素、およびシアン化水素などが含まれています。シアン化水素は青酸ガスです。青酸ガスとは青酸カリで発生する毒ガスです。もうこんなものは、絶対体に悪いのです。ギリシャ語で青色をシアンと呼ぶので、プリンターのインクは「シアン」と呼びますが、全然毒ではありませんのでとばっちりです。

一酸化炭素は練炭などで発生する毒ガスです。通常、体内の酸素はヘモグロビンとくっついて運ばれるのですが、一酸化窒素は酸素の200~250倍の強さでヘモグロビンとくっつきます。すると、酸素を運べるヘモグロビンが減少するため、体は酸欠になってしまうのです。酸素不足が続くと、細胞が十分に機能しません。私たちの血管を作っている細胞も酸素不足にとても弱いので、酸素不足が続くと血管(血管の細胞)が痛んでしまうのです。

血管がキズつくと、怪我でもしたのかと体は驚き、出血せぬようにと血液を固めようとしてしまいます。つまり、一酸化炭素で血管が痛んだ結果、血液は固まりやすくなるという事です。血液が固まる事をさらに悪化させる病態は「血管の収縮」です。血管が収縮すれば、血液成分が渋滞を起こして、もっと固まりやすくなっていきます。

タバコの煙に含まれるニコチンは自律神経に作用します。この自律神経は交感神経と呼ばれ、体を興奮させる神経です。この神経が刺激されると、血管が縮んで血圧は上昇し、心拍数も上昇します。おまけに、ニコチンによって交感神経が刺激されると血糖値が上昇し、さらに体内のインスリン(血糖を低下させるホルモン)の反応性が鈍る事がわかっており、糖尿病までも悪化させていきます。

活性酸素も同じように血管を収縮させる作用があります。心臓の血管を広げる薬に「ニトロ」と呼ばれるものがありますが、これに似たような物質が体内でも作られています。活性酸素はこの物質を消費してしまうため、血管が強く収縮してしまうのです。そればかりか、活性酸素はコレステロールを悪性物質(酸化コレステロール)に変化させる作用があります。するとこの悪性物質を除去するために白血球が出動するのですが、コレステロールと戦った白血球はその場にとどまる性質があり、最終的に「プラーク」と呼ばれる”こんもりお山”を血管内に作るのです。こうなると血管の内側は砂時計のように細くくびれます。

「ふむふむ。つまり、タバコを吸っていると、高血圧や糖尿病悪化の恐れがあり、血管は痛んでプラークが出来ていき、さらに酸欠になって血液が固まりやすくなっていく、と。なるほどなるほど・・・。いや、完全に毒ガスやないか!!」と思ったあなたはすっごく普通の判断力があります。

補足ですが、2014年に出された米国の報告によると、タバコの本数を減らしたり低タール・低ニコチンのタバコに切り替えても、心筋梗塞や狭心症のリスクは下がりません。2025年の大規模研究でも、1日2~5本の喫煙であっても、心筋梗塞リスクが大幅に上昇する事が再確認されました。「軽いタバコに減らす」とか、「本数を減らす」というのは、何も意味がないと思った方がよいです。「だったら本数は減らさなくていい」と思う人がいれば、その判断こそが”病的である”という事です。

「タバコなんて止めったってすぐに効果もないんでしょう」と思っている人も少なくありませんが、タバコはやめたその日から血管への悪影響が止まります。また、5~10年禁煙を続けると、動脈硬化・血栓症リスクは非喫煙者レベルまで改善するのです。

幸せの国の異名をもつブータンでは喫煙は違法ですが、喫煙をしていると不幸せという意味ではないですし、日本では違法でもなんでもありません。嗜好の自由はどなたにもあり、マナーの範疇であれば個人の問題です。だれも、余命1週間の人からタバコを奪おうとは強く感じたりしません。

ですが、大切な人の健康が長く続いてほしいと思うときには、皆さん禁煙を勧めるのです。皆が同じ気持ちでタバコを捨てると、そこはもうブータン。

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