それもこれも、アレルギーという化学反応。|にじいろファミリークリニック|東村山市久米川町の内科・循環器内科・泌尿器科

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それもこれも、アレルギーという化学反応。

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2026年2月10日

それもこれも、アレルギーという化学反応。

こんにちは。にじいろファミリークリニック、安田です。

今月の2月6日、消費者委員会の専門部会でアレルギーを起こしうる食品として表示を義務とする食品に「カシューナッツ」を追加する食品表示基準改正案が了承されました。この改正案をうけ、新たな食品表示基準が義務化されるのは4月からだそうです。ナッツ類のアレルギーは、直近12年で10倍以上に急増しており、こういった表示の重要性も高いという事ですね。

当院でも花粉や食べ物、薬剤へ対するアレルギー検査が可能です。実際この検査をする場面はとても多く、確かに大勢の患者さんがアレルギーに対して関心があるという事も実感します。最近、アレルギー注射を扱っている製薬会社のサノフィさんに、勉強会もしていただきましたが、やはりこの点はトピックになっているようです。

花粉症の代表はスギ花粉と言っても過言ではありません。このスギ花粉はこの2月から4月ころまでがピークです。日本人の花粉症有病率は40%を超え、2人に1人が花粉症と言われており、年明けから春までの期間はどこかから鼻をすする音が聞こえてくるという事になります。「ズルズルと 赤らむ鼻で オニにマメ」と読めば、これはもう2月を意味する俳句となるわけです。

アレルギーとは、過剰な免疫で体が障害をうける事を言います。免疫とは、まさに「疫(=病気)を免れる」反応で、基本的には異物を排除するシステムの事です。免疫細胞として知られる白血球が中心で行う反応で、自分の体以外=非自己に対する防御反応です。TVで有名な金髪のホストが「俺か、俺以外か」という名言を残しておりましたが、まさにコレと一緒です。

免疫反応には細胞そのものが中心で働く細胞性免疫と、抗体と呼ばれる物質を介して反応する液性免疫があります。この抗体とは免疫反応における武器のようなもので、ギリシャ字のガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、イプシロンになぞらえてG、M、A、D、Eの5種類があります。正しくは免疫グロブリン(あるはガンマグロブリン)と呼び、「Ig」と表現しますので、Gの抗体はIgGと言ったりします。せめてアルファベット順とかにしてほしかった!と思うほど覚えづらいです。

この抗体は、異物を無毒化したりできる以外にも、例えば他の細胞や物質の働きを手助けしてくれるので、免疫反応には重宝します。異物を取り込む「食細胞」の働きを上げたり(オプソニン化と言います)、補体という免疫物質を活性化させたりします。補体とは異物を破壊したり、他の免疫細胞をあつめる働きがあるのですが、ここでは細かい説明は省きましょう。

うまく機能すればチームワークでよい感じの免疫反応を作ってくれるのですが、これが行き過ぎればアレルギーになり、その反応の内容で大きく4つに分かれます。少し前にお話しした細胞性免疫の過剰な反応は4型アレルギーと言って、関節リウマチやツベルクリン反応、接触皮膚炎といった病態を起こす要因です。反応から発症に数日を要するので、遅延型アレルギーとも言います。

他にも、抗体が異物とペタッとくっついたものが、血管にベタっとくっつき、これをみつけた補体が免疫細胞をあつめて血管ごと反応してしまう3型アレルギー(免疫複合体型アレルギー)、自分の細胞を敵と認識してしまう2型アレルギー(細胞障害型アレルギー)などがあります。3型アレルギーは血管を攻撃してしまうので、急性糸球体腎炎(腎臓は毛細血管が集まっているので、攻撃ターゲットになりやすいです)や血管炎などの原因となり、2型アレルギーは自己免疫性貧血(血液をターゲットに反応)やバセドー病(甲状腺ホルモンに関係する組織に対する反応)などの原因となります。なんとなく、「え!それもアレルギー反応なの!」って、意外になるものが含まれてますよね。

ただし、なんといってもやはり花粉症や喘息、蕁麻疹に代表される1型アレルギーが、いわゆるアレルギーって感じがします。これは即時型アレルギーとも呼ばれる反応です。異物をみつけると白血球がインターロイキンという物質を出します。これはまさに、グループラインの一斉メッセージで、「こんなんいまっせ」と周りにチクるわけです。この相談をうけると、他の白血球が抗体を作るようになるのですが、これがIgE抗体です。IgE抗体は手配書のような働きがあり、免疫細胞はIgE抗体とくっつく事で過敏状態へ変化します。この過敏状態でもう一度異物と出会うと、「見つけたぞルパーン!」という具合に過剰反応を起こすのです。この過剰反応ではヒスタミンやロイコトリエンという化学物質が産生され、本来は鼻水や涙で洗い流した異物をくしゃみで外に吐き出す防御反応なのですが、過剰におった結果として皆さんご存じの花粉症症状が出てくるわけです。当然ひどければアナフィラキシーという過剰状態を呈するので、まったく甘くは見れないわけです。

よくつかう花粉症の薬は、抗ヒスタミン薬といって、1型アレルギーの最終的な化学物質を抑える薬剤です。これとは別に、抗ロイコトリエン薬という薬もあり、一緒につかえば相乗効果が狙えます。しかし、そもそも反応を起こさなければ良いよね、という考えのもと、抗インターロイキン薬が最近は出てきています。これが、サノフィさんのデュピクセントです。めちゃめちゃ効くみたいで、今後もっと普及するだろうなと感じました。

鼻水を春先に季語にしないために、医療はどうやら今日も進歩しているようです。

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